【コロンビア・レティシア6日目】すごく優しい犯罪者と知り合いになった。
2017年4月4日、きのうのはなし。
(こちらではまだギリギリ5日なのです。)
朝起きてスマホを見たら、メッセージが10通。
いや読まれへん!
ひとつひとつ翻訳して、大体理解。
昨日来なかったのは、ボートに問題が生じて帰ってくるのが19時になってしまったから。とのこと。
うーん、まあそれなら仕方ない。
やっぱり連絡取れないって不便すぎる。
今日は、昨日会った日本語ペラペラのブラジル人と、ピンクイルカを見に行く日。
ネカフェで待ち合わせる。
彼はちゃんと来てくれた。
さすが日本の血が混ざってるだけある。
朝ごはんに、彼が毎日通ってるというパン屋さんに連れてってくれた。
わたしがいつも行ってるとこより、清潔感があって、置いてあるパンもクオリティが高く、値段も少し高そうだった。
レティシアでツナパンが食べられるなんて…
美味しいパンを食べながら色々話した。
話をする中でどんどん明らかになる彼の正体。
なんと言うか、完全なる、悪人…
内容が結構酷くて、ここには書けない。
とりあえず、日本で2回逮捕された経験あり。
平然と自分の悪事について話してくれる。
店や相手はちゃんと選んでやっていること。
実行するのは下っ端で、彼はボスとの仲介役であること。
そして今回レティシアに来たのもそっち系の仕事の一環であること。
うん、だからだ。間違いない。
だから昨日、150000ペソを軽々と払うと言いだしたんだ。
150000ペソは日本円で6000円くらいなので、払えないほど高額とかではないけれど、こっちに住んでる人からするとまあまあの金額だし、こっちの物価にすっかり慣れてしまったわたしも、いくらピンクイルカのためとはいえ躊躇ってしまう。
彼は既にピンクイルカを2回見に行っているにも関わらず、3回目を払ってくれようとしている。
いや有難いけど…
とにかく彼はその悪事によって、相当稼いでいるらしい。
1泊1000円、1食400円もかからないこの町で、3日くらいで10万円ほど遣ったらしい…
わたしなんて6日もいてまだ2万円も遣ってない。
ヤバい人と知り合いになってしまったなーと思ったけど、彼は言った。
俺は人殺しとか物を盗んだりとかはしない。
悪いことからはもう足を洗った。
怒りもしないし、暴力もしない。
君が怖がる必要は全くない。
なんか困ったことがあったら言って。
わたしから見たら全然足洗えてないけど、彼の物差しでは、今の仕事はそこまで悪いことではないらしい。
まあ話を聞いた限りでは、確かに過去に比べたらやってることはマシになってるかもしれないし、わたしに対して何か仕掛けてきそうな気配は全くない。
むしろめちゃめちゃ優しい。
深入りは禁物だけど、一緒に行動しても、わたしに悪いことは絶対起きない。気がする。
彼には遠慮なく奢ってもらうことにした。
そんな、めちゃくちゃヤバめの彼だが、クロワッサンの外側だけが好きらしく、中身だけ残していたのがかわいくて、そのギャップには笑ってしまった。
結局ツナパンに加え、ボートで食べる用のミートパイ的なパンも買ってくれて、そのあとお店でわたしの分の水まで買ってくれてた。至れり尽くせりだ。
ボート乗り場で、ドライバーとの交渉が始まった。
彼がスペイン語でやり取りしてくれて、最後にお金を払ってくれたのも彼なので、結局いくら支払ったのかはわからない。
スペイン語と日本語がペラペラだなんて、今まで出会った誰よりも頼もしいかもしれない。
ボートに乗り込んで、いざ、ピンクイルカ探しの旅へ。
数十分程進んだところでボートは止まった。
このあたりにイルカがいたらしい。
現地の人は、何でも見つけるのがうまいなぁ。
静かに見ていると、1匹のイルカが跳ねた。
その後も、続々と跳ねるイルカたち。
いっぱいいた。
ただ、色はグレーだった。
結局このあとはずっと土砂降りで、ピンクのイルカは見れず終いだった。
残念だけど、天気には逆らえない。
明日晴れたらまた行くかもしれない。
帰り道にアマゾン川沿いに見かけた、レストラン。
それを見て、彼は話してくれた。
この前このレストランで腹立ったよ!
暑かったからTシャツ脱ごうとしたら、ダメって言われたんだ!
他にお客さんがいるならわかるよ?
でも俺たちだけだったんだよ!
めっちゃ暑かったよ!
腹立ったから今度行くときは、絶対、始めから服着ずに行ってやるんだ!
いや言ってること子供やん!
彼は、1人で遣い切れないお金と権力を持ってしまった、ただの子供のようだった。
若干語尾が片言なのが、またかわいい。
港に戻って、わたしたちは解散した。
彼の仕事の話が、全部ウソならいいのに。
少なくとも今日の彼は、とても良い人だったから。
(奢ってもらったからではなく本当に!)
せめて、今日の雨のせいで彼の風邪がひどくなりませんように。
今朝会ったときに、昨日ちゃんと風邪薬買ったよ!と得意げに言うから、今日飲んできたの?と聞くと、なぜかまだ飲んでなくてホテルに置いてきてたのを思い出したら、未だに笑える。
彼の発言は、全部わたしのツボだ。
わたしは港に残って、空とアマゾン川を眺めていたけれど、夕方になっても雲は晴れず、今日は夕陽は見られなかった。
帰り道、30分だけ、ネカフェに寄った。
エディソンから連絡が来ていた。
今度はちゃんと英語だった。
今、道を歩いてる。
5人と一緒に。
今日は仕事が早く終わったから。
ハイキング。
Yuは元気?
こんな感じだったので、多分仕事が早く終わって友達とハイキングに行ってたのかな?
メッセージになると、めちゃくちゃ片言になるな…
わたしの解読が正しければ、
あと10分くらいでシティに帰るから、わたしのホテルまで来てくれるとのこと。
やっと会える!
ウキウキでホテルに戻ったけど、
またもや彼は来なかった。
今度は何があったんだろうね。
そろそろ、彼への信用を保つのが難しくなってきた。
全ては、常にお互いがLINEでもし合える環境ならば、解決するのに。
ここが日本だったらなー。
彼は現地人なのにネットを使えない。
町にはネカフェがたくさんあって、現地人も多く利用しているので、この町ではそれが普通なんだろう。
sim買えよ!って思ってしまうけど。
わたしは便利な世の中で生きてきたな。
すれ違ってばっかで悲しいけど、こういう経験を現代にまたできるというのは、すごく貴重なことなのかもしれない。
今の小学生は、一生こんな思いすることないのかもね。
ここまできたら最後にもう一度、彼に会っておかないと、このままこの町を離れることなんてできない。
渡米前にエクアドルに寄るのを、やめた日だった。